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壷中園 Blog

マンガとライトノベルの備忘録、壷中園(こちゅうのえん)。 基本は「誉め」。 2009年3月開設。 飽きるまで続けます。

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【文芸】惜春

惜春 (講談社文庫)惜春 (講談社文庫)
(2006/04/14)
花村 萬月

商品詳細を見る

ライトノベル読みにうってつけ。

あらすじ



歌舞伎町のキャッチバーで働く青年・佐山は、
ヤクザに「肉をたらふく食わせてやる」とそそのかされた挙句、
気がつけば滋賀は雄琴の歓楽街に連れてこられていた。

雄琴。
琵琶湖のほとり、ソープランドの町。
その風俗店のひとつ『城』で、彼はボーイとして働き始める。
二十歳を越えてなお女を知らない佐山は、
一癖も二癖もある姐さんたちに翻弄され、
戸惑い、消耗しながら、ひたむきに職務をこなしていく。

薄汚いタコ部屋でしばしの眠りにつくも
目覚めれば、過酷。 逃げ場のない日々。
しかしその中で、恋を知り、けがれを知り、
青年は少しずつたくましくなっていく。

感想



誤解を恐れずに言えば、この作品は
ライトノベル的なあらすじ
になっているのではないか。
そう感じました。

その理由を以下に。

・(佐山くん、二十歳で未経験の)童貞主人公が、 
・(ソープ街という)異界に迷い込み
・(けがれを嫌悪する)特別な少女と出会って
・(その嬢との)恋に落ち、 
・(店の運営に関与するまでに)成長する。 

いかがでしょう。
赤字だけ追うと、ずばりライトノベルですね。

ライトノベルのオーソドックスな
要件をぴったり満たしているようです。
つまり、中高生が読んだとき
気持ちのいいストーリーになっている。

(逆に言うと、ほとんどのライトノベルは
 赤字で記したわずか5行に集約されるという説も?)
 
だからこそ、この作品からは
性風俗という題材を扱いながらも、
若々しい青春の香りが匂いたちます。

使用済みコンドームを焼きはらう、童貞のはがゆさ。
ライトノベル脳を養う一冊です。

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  1. 2009/06/06(土) 00:00:00|
  2. 文芸
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【文芸】秋期限定栗きんとん事件(上)(下)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)
(2009/02)
米澤 穂信

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秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)
(2009/03/05)
米澤 穂信

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「小市民」シリーズ第3弾。
上下巻を一気に読むことを激しく推奨します。

あらすじ


あの夏期限定トロピカルパフェ事件の終幕とともに
「小市民」小鳩くんと小佐内さんの互恵関係も終わった。
それぞれに新しい恋人ができ、受験も近づいている。
小市民への道は平和に、そして別々に進むのだ。

しかし、彼らの内に潜む狐と狼は――眠ってはくれない。
親友・健吾が束ねる新聞部での些細ないざこざと、
町を脅かす連続放火事件とが関連を見せたとき、
小鳩くんと小佐内さんは、まったく違う地点で「暗躍」を始める。

賢しげに苦笑する自称「小市民」小鳩少年と、
砂糖菓子の虜にして、小動物の皮を被った狼、小佐内ゆき。
二人はあくまで小市民として暮らしたいと願いながら、
それでも推理をやめられない!

感想


前作、夏期限定トロピカルパフェ事件の続編です。

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)
(2006/04/11)
米澤 穂信

商品詳細を見る
(夏期限定トロピカルパフェ事件)

未読の方のために詳細は伏せますが、
前作の結末の生殺し感は、相当なものでした。
こんなすごいところで、以下続刊とは……! と、作者の正気を疑ったものです。
さらに罪深いことに、秋期は長い間刊行されませんでした。

そして、待ちに待った新しい季節の新作スイーツ。
それが本作、栗きんとん事件です。
肝心のお味は?
前巻比30%増しの糖分高めラブストーリー風味……のいままで通りです。
要するに、相変わらずの「小市民」もどきたちの悪あがき。
才能も好奇心も、小市民たるべしという信念のもとに隠蔽しようと努めますが、
「推理の快楽」あるいは「復讐の甘味」が小市民の星をまたも遠ざけます。

さて、前2作に引き続き、小佐内さんの魅力が際立っています。
人畜無害を絵に描いたような人物が、ときおり見せる魔性の表情。
甘いお菓子か、復讐の成就のみによってもたらされる、極上の笑顔。
こうした描写の積み重ねによって、本作はキャラクター小説として完成しています。
なにしろ、小佐内さんの言動から片時も目が離せません。
否、より正しくは、目を離してはいけないのです。
なぜなら、小佐内さんはとっても危険だから。
小佐内さんは小さくて、もろく壊れやすそうです。
はかなげな、という意味での「危うさ」があります。
一方、ちょっとでも目を離したその隙に嬉々として誰かを滅ぼしかねない、
そんな純然たる「危うさ」を隠していることは、小鳩くん(と読者)だけは知っています。つまり二つの「危うさ」を併せもつアブナイ女の子なのです。
したがって、自然、読者の注意は小佐内さんに集中します。
作品の顔=ヒロインに釘付け……それはキャラクター小説的成功に他なりません。

頭の回転が早い、ということの格好良さ。
ずっと読みたかった待望の一冊です。

  1. 2009/03/29(日) 00:00:00|
  2. 文芸
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【文芸】乱暴と待機

乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)
(2008/02/27)
本谷有希子

商品詳細を見る

演劇台本の小説化作品。映画化も決まっているそうです。

あらすじ


六畳間一間の安普請に、息を潜めて暮らす二人の兄妹。
英則と奈々瀬――彼らに血の繋がりはない。
彼らを繋ぎとめるもの。それは「復讐」。
もう4年、奈々瀬は心待ちにしていた。
英則が、思いつく限りの最も残酷な方法を思いつく日を。

感想 舞台が見える小説


箱が、見える。

見えます。 
せまいボロアパートの舞台が、はっきりと。
いかにも舞台作家の書いた小説です。
限定空間、シチュエーションの提示から始まり、
闖入者の登場がトリガーとなって
状況が二転三転していく。
限られた数の登場人物。
固定された舞台設定。
そして畳み掛けるような終盤の盛り上がり。
見えます。
役者まで見えます。
ボロアパートの屋根裏に這って、
奈々瀬を凝視している英則の姿がありありと見えます。

これでもかって言うくらい、画が浮かぶのです。
その強制力はほとんど暴力的ですらあります。

そして文句なく面白い。
えげつなくグロテスクなうえ、痛々しいのですが、
なぜかグイグイ引っ張られる。

頁を繰る手が止まらない。
さくさく読める一冊です。
  1. 2009/03/11(水) 00:00:00|
  2. 文芸
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:3

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